どのような経路から自社Webサイトに来てくれているのか。そしてWebサイトに来たあとはどのように行動しているのか。
これらのユーザーの動きを可視化するツールが、Googleアナリティクスです。
Googleアナリティクスの指標のひとつに、サイト上での行動を評価するために使う 直帰率 という指標があります。
直帰率とは、Webサイトを訪れたセッション(訪問)のうち、他のページを閲覧することなく帰ってしまった(直帰した)セッションの割合を表わす指標です。
この直帰率は、ディメンション(データを集計する軸)と組み合わせることで、より深い分析ができるようになります。
そこで今回は、Googleアナリティクスでディメンション×直帰率を組み合わせて、Webサイトの課題を見つける方法を紹介します。
「Webサイトの分析と言っても、どこから手を付けて良いか分からない…」なんて方は、ぜひご覧いただき、実際の分析に役立ててみてくださいね。
データは掛け合わせて分析することが重要
データの分析で重要なことは、指標とディメンションを掛け合わせて、データ群を異なる属性に分けて分析することだと考えています。
こちらの数字を見てください。
あるページAの直帰率は50%です。
つまり、2人に1人は他のページを見ることなく離脱してしまっています。
この結果だけを見て、あなたは何か仮説が思いつくでしょうか?
ページ名 | 直帰率 |
---|---|
ページA | 50% |
きっと仮説を見つけることは難しいかと思います。
ではこちらのデータであれば、どうでしょうか?
ページ名 | 直帰率 |
---|---|
ページA | 50% |
ページB | 30% |
ページBという比較対象があることで、ページAの直帰率50%は改善する余地がありそうだと判明しました。
もしファーストビューを直すとしたら、ページAの方から着手するのが良さそうですね。
データはいくつかの要素を掛け合わせることで、課題発見につながります。
今回は特に「直帰率」を各要素を掛け合わせて課題を見つけていきます。
直帰率×ディメンションで分析してみよう
直帰率×年齢を掛け合わせて分析
まずは年齢と直帰率を掛け合わせて分析してみましょう。
データを見る限りだと、年齢によって直帰率に大きな違い、傾向などはないようです。
弊社ジャンルである「デジタルマーケティング」という特性を考えると、年齢によってサイト訪問の動機に違いはないことが想像できます。
過去の事例で、墓地拡販のためのリードジェネレーションサイト(問い合わせ獲得を目的としたサイト)があります。
このサイトは、年齢によって直帰率に大きな違いがありました。
短納期訴求をすると、年齢の高い方が直帰する割合が増えました。
一方で、永代供養(お墓参りに行けない方になどに代わって、寺院や霊園が永続的に供養をしてくれる仕組み)を訴求すると、年齢の高い方は直帰せずに何ページも閲覧していました。
そしてこの動きに反するように、35-54歳の方たちは、短納期訴求では直帰せず何ページも閲覧するのに、永代供養の訴求だと直帰する割合が増えました。
つまり、自分のための墓地を探す方(65+)と、おそらくご両親のために探す若い年代層では、状況が違うのでしょう。
本事例においては、どの年齢層が多いのか、どの年齢層にアプローチしたいのかによって、訴求を変える必要があるとわかったのです。
このように年齢×直帰率という分析は、年齢、年代によってニーズが大きく違うケースで力を発揮する分析です。
直帰率×地域を掛け合わせて分析
2つ目は、直帰率と地域を掛け合わせて分析してみます。
実店舗を持つビジネスのサイトでは、店舗のありなしによって大きく差が出る傾向があります。
弊社のような全国商圏で地域の関係ないビジネスでも、地域差が現れる傾向が見てとれます。
4番目の愛知県からの訪問は、他県と比較して直帰率が低いですね。
Webマーケティングであっても、同じ東海圏の地場企業に申し込みたい、とのニーズを感じます。
もし他エリアでの直帰率を改善するなら、どんな施策が考えられるでしょうか。
例えば、「全国対応」というコピーを掲載するのは良いでしょう。
また「オンライン会議を使って、まるで対面で会話するかのようにサポートします」なんて表現も良さそうです。
逆に地域特化したければ、拠点が岐阜県、愛知県であることを強く謳うほうが良いでしょう。
その上で、近隣地域の訪問者の直帰率が下がるかチェックしてみましょう。
直帰率×新規ユーザー・リピートユーザーを掛け合わせて分析
3つ目は、直帰率と新規・リピーターユーザーを掛け合わせて分析してみましょう。
こちらを見ると、再訪問したユーザーの直帰率は低いことが分かります。
Webサイトに再訪問する人は、それだけサービスのニーズがある可能性も高いですよね。
感覚的にも、リピート訪問時の直帰率は、初回訪問時よりも低いと感じます。
上記の結果の場合は、新規ユーザーがそのまま直帰しないように、対策を考えるのが良いでしょう。
例えば、自社の強みを上部に掲載し、新規ユーザーに見てもらう。また関連するコンテンツを中段に置き、回遊を促す。こういった施策が有効だと思います。
直帰率×デバイスカテゴリーを掛け合わせて分析
4つ目は、直帰率とデバイスカテゴリーを掛け合わせて分析してみましょう。
サイト訪問時の状況は、デバイス別で異なります。
どの端末で訪問したのかによって、ユーザー行動が異なるのは想像できます。
ここでのポイントは、デバイス別のユーザー行動が端末によって違うことを理解して、各端末に最適化されたサイトのUI(≒デザイン)を考えることです。
直帰率が高いからといって、サイトが悪いとは限りません。なぜ高いのかを考えることが需要です。
ユーザーに寄り添ったサイト表現と構成になるよう、デバイス毎の状況を把握しましょう。
その際、直帰率などの指標を判断材料に、改善を繰り返していただければと思います。
直帰率×流入元を掛け合わせて分析
5つ目に、直帰率と流入元を掛け合わせて分析してみましょう。
自然検索からサイトに来たのか、広告経由で来たのか。それともソーシャルメディア(SNS)から来たのか。
サイト訪問時の流入経路によって、ユーザー行動は大きく異なります。
上記のデータを見ると、メールを経由して訪問したユーザーは直帰することなく行動しています。
一方で、自然検索から来たユーザーは直帰が多い印象です。
より詳しく分析するためには、さらにセカンダリディメンションとしてページを掛け合わせる必要があるでしょう。
ここでお伝えしたいのは、流入元ごとにユーザー行動が違うのは当然なので、あまり比較する必要もないのかなと思っています。
むしろ、広告の出し方を変える、メルマガの文章を変える、などの施策を実施した時に、過去の同じ流入元と比較することが大切です。
この時、すべての流入元を1つにまとめてデータを見ても、変化は気づきにくいでしょう。
流入元を分けて、経路ごとに分析するからこそ、各集客施策の効果が分かるのです。
直帰率×ランディングページを掛け合わせて分析
6つ目に、直帰率とランディングページを掛け合わせて分析してみましょう。
まずは、ランディングページごとの直帰率を大まかに把握します。
ポイントとしては、ページ毎の直帰率を比較すること。
サイト全体の平均と比較して、突出して直帰率が高いページから改善していくと効率的です。
セッションの多い順番で並び替えて、その上で直帰率が高い部分を少しでも改善することを徹底しましょう。
ファーストビューで何を訴求するか、CTAをどう設計するのか意識してみてください。
なおランディングページを詳細に分析する時は、セカンダリディメンションとして「参照元/メディア」を掛け合わせるのがおすすめです。
まとめ
この記事では、直帰率とディメンションを掛け合わせて課題を見つける方法を紹介しました。
今回は直帰率を例として使いましたが、どの指標を使う時にも考え方は同じです。
Googleアナリティクスを見る時、なんとなくデータを見ても、有効な仮説を立てることはできません。
目的を持ち、ディメンションやセグメントといった切り口を掛け合わせてデータを見てみてください。
そうすることで、サイトの改善活動に繋がるデータ分析ができるようになるはずです。
※掲載したデータは、弊社のWebサイトのデータです