「戦略」という言葉は、みなさんも聞いたことが多いはず。
しかし、具体的に何のことかと聞かれると、「うーん」と唸ってしまう人も多いはず。
実は、Webマーケティングをする上では「戦略」はとっても重要です。
ただ「戦術」と混同されていたり、「戦略」自体がないこともしばしば。
それでは、効果的なマーケティングもできないばかりか、無駄な時間と費用がかかってしまうことも。
そこで今回は、Webマーケティングにおける「戦略」と「戦術」の違いについて解説していきます。
これからWebマーケティングを進めていく方は、ぜひ目を通しておいてくださいね。
そもそも戦略とは?
戦略:目的を達成するための資源の配分
戦略とは、目的を達成するために、リソースをどう上手く配分するか考え選択することです。
見ての通り、戦略は2つの要素があります。
- 達成すべき目的があること
- リソースをうまく配分する選択
まずは目標があることです。
目標がなければ、特に頑張る必要もないですよね(笑)
2つ目に、リソースをうまく配分する選択です。
人もカネも豊富にあれば、すべてをやってしまえばいいので戦略なんて必要ありません。
しかし、たいてい有限なので、うまく配分することが必要になってきます。
戦術との違い
「戦略」と合わせてよく出てくるのが「戦術」です。
戦術とは、戦略を実現するために使う手段です。
例えば、あなたが東京に住んでいて、本場のジンギスカン鍋を食べたいと思ったとします。(目標)
今度お休みがあるので、北海道にプチ旅行をして、有名なジンギスカン鍋を食べることにしました。(戦略)
そのためには、新幹線でも行けますが、時間を考えると飛行機を使うことにしました。(戦術)
このように戦略と戦術は別のものであることを覚えておいてくださいね。
なぜWebマーケティングで戦略は大事?
Webマーケティングにおいて、なぜ戦略が重要なのか。
その理由は、大きく2つあります。
たいていリソースは不足していることが多い
Webマーケティングを進める上で、資源(リソース)が豊富にあれば、ぶっちゃけ戦略は必要ありません。
ここで言う資源とは、お金やスタッフの人数、時間、持っているノウハウなどを指します。
しかし、たいていの企業では「すべて満足できるほど豊富に資源(リソース)がある」ことは少ないはず。
例えば、新開発の製品を日本中に知ってもらいたくても、広告費が30万円ではテレビCMを打つことはできませんよね。
だからこそ、戦略を考えて「どこに資源(リソース)を選択して集中する」ことが重要なのです。
最短距離で結果を出すことができる
しっかりと戦略を立てておけば、Web集客において最短の時間で、できるだけ費用をかけずに、大きな効果を得られる可能性が高くなります。
あなたがマーケティングを行う上では、必ず目標があるはず。
- 商品の認知度を上げる
- ECサイトでの売上を昨年対比で120%にする
- 毎月100件の見込み顧客(リード)を獲得する
こういった目標を立てたとしても、なんとなく施策をしていては達成することが難しいでしょう。
しかし、事前に戦略を立てて、戦術、施策と落とし込んで進めれば、目標を達成する確率は飛躍的に上がります。
よい戦略の4つの特徴
戦略の必要性は分かったけど、どんな戦略がよいのかな?
USJをV字回復させたマーケッターの森岡氏によると、よい戦略は4つの特徴があると言います。
選択的であること(Selective)
選択的であるとは、「やること」と「やらないこと」を明確に決めていることです。
Webマーケティングは、SEO、リスティング広告、SNSなど本当にさまざまな手法が日々登場しています。
しかし、それら全てをするのは絶対に無理ですし、おそらく資源(リソース)も足らないはず。
よって「しないこと」を決め、「すること」に資源(リソース)を集中させることで成功する確率を上げるのですね。
資源が十分であること(Sufficient)
資源が十分であるとは、目的を達成するために必要な資源(リソース)が確保できることです。
ある施策に100の資源(リソース)が必要なのに、60しか用意できなかったら、上手くいかない可能性が高いでしょう。
なお「資源」と「選択」は、深い関係があります。
やらないこと決めれば、その分のリソースをもっと効果的な施策に充てられるからです。
「やること」を決め、資源(リソース)が足りているか確認できるといいですね。
継続可能であること(Sustainable)
継続可能であるとは、短期的でなく中長期で続けられるかということ。
短期間でコロコロ戦略を変えていては、せっかくの資源(リソース)も無駄になってしまいかねません。
また資源(リソース)をすぐに使い切って強制終了になるような戦略も良くはありません。
あまり無理せず仕組みとして続けられることが重要だと言えますね。
自社の特徴との整合性がある(Synchronized)
自社の特徴と整合性があるとは、自社の長所と短所を理解して、長所を活かせるかということ。
立てた戦略が自社の強みとマッチすれば、成功する可能性もグンと上がります。
一方で、自社の弱みが露呈してしまう戦略を立ててしまうと、せっかくの戦略も上手く行かなくなるかもしれません。
競合他社が苦手とし、自社が得意とするところを活かせる戦略を立てられると強いですね。
戦略→戦術の順番で考えよう
戦略と戦術には、考える順番があります。
正しい順番とは、
- 目的を明確にする
- 目的に合う戦略を考える
- 戦略を達成するための戦術を考える
の順番です。
次の休みでリフレッシュするには?
ちょっと分かりづらいので、一つ例を出してみましょう。
あなたが、仕事で多忙だったので次の休みにリフレッシュしたいなと思ったとします。
この場合、目的は「次の休みでリフレッシュをする」ですね。
リフレッシュする方法は、いくつかあります。
- 有給を取って数日間リゾートに滞在する
- 1泊2日で近くの温泉旅館に泊まる
- 次の週末に、高級ステーキを食べに行く
- 欲しかったブランドバッグを買いに行く
どれをとってもリフレッシュできると思いますが、おそらく自分の希望や予算を考えて選びますよね。
これがまさに戦略です。何をして、何をしないか選ぶからです。
戦略さえ決まってしまえば、あとはその戦略を実現する方法を決めるだけ。
リゾートに泊まりに行くなら、行き先を決めたり、有給申請をしたりしますよね。
高級ステーキを食べにいくなら、どのお店に食べに行くか決めれば良さそうです。
ECサイトのセールを多くの人に知ってもらうには?
では、次にWebマーケティングの場合を考えてみましょう。
あなたは、オリジナルのエコバッグをECサイトで販売しています。
次の週末に、ECサイトのキャンペーンとしてセールを行い、販売を強化したいと考えています。
この場合、目的は「ECサイトでセールを行うことを知ってもらい、販売に繋げる」ですね。
次に戦略を考えましょう。目的を達成するには、こんな方法が考えられそうですね。
- Web広告を出してECサイトへのアクセスを増やす
- これまで買ってくださった顧客にメールマガジンを送り、セールを伝える
- 主婦向けのWEBメディアに記事を載せてもらう
この中で、ECサイトのユーザーに近い人が多く集客でき、予算と合うものを考えていきます。
戦略が決まれば、あとは「どのように実現するか」、つまり戦術を決めればいいですね。
このように戦略を決めてから戦術を決めたほうが無駄なく進められるのです。
Web集客を考える場合も、まず目的に合わせて戦略を決めることを忘れないてくださいね。
まとめ
この記事では、Webマーケティングにおける戦略と戦術の違いについて紹介しました。
Webマーケティングにおいては、
- 達成したい目標を決める
- 目標を達成できる戦略を決める
- 戦略に基づいて戦術を決める
の順で考えていくことで、効果的な施策ができるんでしたね。
もし自社だけで難しいようであれば、ぜひ信頼できるパートナーを探してみてもよいでしょう。
ぜひ社内でこれからWebマーケティングを進めていく際は、まず「戦略」を考えることを心がけてみてくださいね。
参考文献:森岡 毅著『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』角川書店, 2017