学校の学生募集のため、多くの学校の担当者は日々、Webでのプロモーション活動に頭を悩ませていることでしょう。
しかし、成果を上げるためには、効果的な集客方法を採用する必要があり、手当たり次第に施策を行っても成果に繋がらない場合もあります。
このような課題の根本にある問題は、大きく3つに分類することができます。
- 何を改善するために施策を実施するのか決まっていない
- 施策を実施する前後の数値を計測できていない
- 取り組むべき施策の優先順位が明確になっていない
この記事では、学校のWeb集客におけるプロモーション活動の効果を最大化にする方法やコツについて解説します。
1.何を改善するために施策をするのか?
課題を改善するためには、明確な目的を設定し、最短で成果を出すことができる施策を選ぶ必要があります。
例えば、胸筋を鍛えたいと考えて筋トレを始める場合、ランニングや山登りをしても胸筋を鍛えることはできません。
取り組むべきは、腕立て伏せやダンベルを使って胸部に負荷をかけるトレーニングです。
目的を達成するためには、進むべき方向や手段を間違えてしまうと、一向に成果は出ません。
そこで、まずは達成したい目標を分解して考えることが大切です。
最終的な目標を因数分解する
ある大学が「志願者数」を増やしたいと考えていたとします。
その目標を達成するためには、次の4つの項目に分解することができます。
- 高校生の数 ⇒ 社会における高校生の規模
- 進学率 ⇒ 高校生の中で、大学や専門学校への進学を希望している人々の規模
- 認知率 ⇒ 大学への進学を希望し、かつ○○大学のことを知っている人々の規模
- 選考率 ⇒ 他大学と比較して○○大学を選ぶ割合
分解された項目の中で、Webは「認知率」および「選考率」の向上に貢献することができます。
認知を上げるための主な施策
高校生に大学の存在を知ってもらうためには、まず彼らがどこから情報収集をしているかを調査する必要があります。
そして、ターゲットとする高校生たちが普段利用する媒体を通じて、リスティング広告やSNS広告、SEO対策などを実施します。
また、Instagram、Twitter、YouTube、進学サイトなどで情報を発信し、大学の存在を広めることができます。
認知率を高めるWebプロモーションの事例
認知率を高める施策を行った後は、その効果を数値的に評価する必要があります。
この場合、認知度を測るために以下の4つの指標を使用することが適切です。
- 指名ワード(大学名)の検索ボリュームを調べる
Google広告キーワードプランナー・aramakigale.jp 等 - 自校のウェブサイトのアクセス数を調べる
Googleアナリティクス - 検索順位を調べる
Google Search Console - SNSを使って自校のエゴサーチを行う
Twitter・Instagram
※関連記事:Google Search Console(サーチコンソール)とは?初めてでも分かる!設定と使い方を解説
選考率を上げるための主な施策
①学生のニーズ(知りたい、欲しい)を満たす情報や機能を用意する
- 学校生活の様子
- 校内のイベント情報
- 入学試験の情報
- 取得可能な資格
- 学費
- 就職実績、就職先
- チャットボットなど
②情報を整理して、成約しやすくする
学校のホームページは、学生のみならず保護者や在校生など多くの方が利用します。
導線改善・カテゴリー分けの改善・チャットボットの設置などを実施し、ユーザーが欲しい情報にすぐたどり着けるように整理をしましょう。
③確度が高いユーザーにアプローチする
資料請求やオープンキャンパスの申し込みをしてもらった後は、学校側から発信やアプローチをしなければ、せっかく認知率を高めても意味がありません。
そのためには、メルマガ、DM、追跡型広告、LINEを活用することが選考の段階で重要となります。
選考率を見る際のWeb指標
Googleアナリティクスを活用して、サイトのコンバージョン率(資料請求やオープンキャンパス予約率の割合)がどう変わったのかを見てみましょう。
また、特定のページの閲覧数や滞在時間、SNSのフォロワー数やYouTubeのチャンネル登録者数、LINE友達登録数なども合わせて指標として追っていくことが重要です。
2.施策を行う前後で数値計測ができているか
行った施策の数値計測のために、Googleアナリティクス、Googleタグマネージャー、Microsoft Clarityなどのアクセス解析ツールの導入を推奨しています。
導入推奨のWebツール
Googleアナリティクスとは?
ウェブサイトやアプリのアクセス解析に使用されるGoogleの無料のウェブ分析ツールです。
Googleアナリティクスを使用すると、サイトやアプリのアクセス数、訪問者の属性、コンバージョン率、収益などの詳細な情報を追跡できます。
Googleアナリティクスに関する情報は、以下の記事からご覧いただけます。
Googleタグマネージャーとは?
ウェブサイトやアプリにタグを管理するためのツールです。
Googleタグマネージャーを使うことで、ウェブ解析や広告の効果測定、コンバージョンの最適化などが可能になります。
Googleタグマネージャーに関する情報は、以下の記事からご覧いただけます。
Microsoft Clarityとは?
Microsoft社が無料で提供しているウェブサイトのアクセス解析ツールの1つで、ユーザーの動きやクリックなどの行動を記録し、レポート上で可視化することができます。
特に、ユーザーがどのようにサイトを操作しているのかを把握することができ、改善策を導き出すことに役立ちます。
Microsoft Clarityに関する情報は、以下の記事からご覧いただけます。
Web施策は数値で良し悪しが判断できる
DMやパンフレットなどの紙媒体からウェブサイトにアクセスした人数や、特定の目標(例えば商品購入や申し込み)の数を測定することができます。
そのためには、測定するための情報(utmパラメーター)をあらかじめ設定することが必要です。
実施した施策が結果的に、良かったのか、悪かったのかを判断するために、必ず数値で計測する環境を整えましょう。
3.施策を実施する上で、考慮すべきポイント
高校生が受験に至るまでのプロセスを考える
上の図は、高校生が受験するまでのプロセスをフェーズごとに図解したものです。
高校生がオンラインに接するタッチポイントは多く存在します。
各フェーズでは、高校生の状態・状況に合わせた適切な方法でアプローチすることが重要です。
例えば、大学について情報取集をしている段階であれば、オンラインでできることは「大学」を含むキーワードで検索結果の順位で上位を獲得することで、自校を知ってもらえる可能性があります。
また比較段階では、最終的に進学先の候補として選ばれるようにウェブサイトやSNSを活用して、大学の魅力を最大限アピールします。
つまり、志願者数を増やすために「欲求喚起」「情報収集」「比較」「興味」の各段階に対して最適化をすることを意識しましょう。
志願者数を増やすためのKPIを設計する
Webを活用して志願者数を増やすために、まずはファネル(漏瑚型)で現状の数値を洗い出してみましょう。
また、以下の点についても合わせて確認します。
- 高校生のアクセスの確認
Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを使用して、サイトの訪問者が主に高校生であるかどうかを確認します。デモグラフィック情報やアクセス時間、アクセス元のURLなどを分析することができます。 - 無駄な広告アクセスの確認
広告を配信している場合、広告のターゲティングや配置を見直し、無駄なクリックや不適切なターゲット層からのアクセスを減らすことが重要です。 - サイト内容の確認
サイトには、プログラムの詳細、入学要件、学費、キャンパスの設備など、志願者にとって必要な情報が含まれている必要があります。 - 魅力的な内容の提供
サイトの内容がエンゲージングで、訪問者が参加したいと感じるようなものであることを確認します。 - 離脱率の確認
サイトの離脱率を分析し、必要に応じてコンテンツの改善やUI/UXの最適化を行います。 - 予約フォームの利便性
予約フォームが簡単で直感的に使えるかどうか確認し、必要に応じて改善します。 - モバイル対応の確認
サイトがモバイルフレンドリーであることを確認し、必要に応じてモバイル最適化を行います。
各数値から考えられる仮説を立て、実際に改善して効果検証を行いましょう。
施策によってOC予約率が0.5%から0.75%に(+0.25%)改善すると、当初の560名の志願者数を840名まで増やすことができます。
結果に一番大きく効果を与えるポイントを優先して改善することで最短距離で改善できる確率が高まります。
4.取り組むべき課題に優先順位をつけましょう
時間も労力もかけて施策を実行したが、それに見合った成果を得られなかったのでは本末転倒です。
最短で成果を出すために、最も成果に繋がる可能性が高いところを優先して改善しましょう。
改善の流れ
- 改善ポイントはどこなのかを分析ツールを用いて調査する
- 数値の要因を分析し、仮説を立てる
- 施策の実行と検証を実施する
まとめ
この記事では、Web集客を改善させるためにどう取り組めばいいかを解説しました。
Web施策は、なんとなくやっても上手くいきません。
「目標に向かうために、どうすれば最短距離で行けるか」を考え、施策をとことんやり抜くことを大事にしてみてください!