「canonical(カノニカル)」という言葉は、Webサイトの運営に携わる方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、具体的にどのようなもので、なぜ必要なのか、きちんと理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
canonicalとは、簡単に言うと、Webサイト上にある同じ内容のページの中から、検索エンジンに「このページを評価してね!」と伝えるためのタグです。
例えば、同じ商品ページでも、URLにパラメータが付いたり、スマホ用とPC用で別々のURLが存在したりすることがありますよね。このような「重複コンテンツ」は、検索エンジンからの評価を下げる原因の一つです。
canonicalを設定することで、どのページが正規のページ(オリジナルページ)なのかを明示し、重複コンテンツの問題を解消できるのです。
Webサイトの評価を上げたい、SEO対策を強化したいとお考えなら、canonical(カノニカル)は必須知識と言えます。
この記事では、canonicalの基礎知識から具体的な設定方法、よくある疑問まで徹底解説します。
SEO対策についてもっと詳しく知りたい方は、「【2024年版】SEOとは|基本・やり方・具体施策を分かりやすく解説」という記事をチェックしてみてください。
なぜcanonical(カノニカル)が必要なのか?
canonicalは、SEO対策において非常に重要な役割を果たします。
その理由は、Webサイトに存在する「重複コンテンツ」が検索エンジンからの評価を下げる可能性があるからです。
重複コンテンツの問題点
重複コンテンツとは、同一または非常に似た内容のコンテンツが、複数のURLで存在している状態を指します。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
1. URLパラメータの違い
「https://example.com/product?color=red」と「https://example.com/product?color=blue」のように、URLのパラメータのみが異なるページ
2. スマホ用ページとPC用ページ
「https://example.com/page」と「https://m.example.com/page」のように、デバイスごとに異なるURLで同じコンテンツを提供している場合
3. ECサイトの商品バリエーション
色やサイズ違いの商品ページがそれぞれ独立したURLを持っている場合
重複コンテンツがあると、何が問題?
- 検索エンジンが混乱する:Googleなどの検索エンジンは、どのページを評価すれば良いのか分からなくなってしまいます。
- 評価が分散する:同じ内容のページが複数あると、それぞれのページへの評価が分散してしまい、本来上位に表示されるべきページが埋もれてしまう可能性があります。
- 検索順位が下がる:結果として、どのページも検索結果の上位に表示されにくくなってしまいます。
canonicalタグを使うと、重複コンテンツの中から「このページが正規のページだよ」と検索エンジンに伝えることができます。
例えば、「https://example.com/product?color=red」と「https://example.com/product?color=blue」が重複コンテンツの場合、「https://example.com/product」を正規のページとして指定することができます。
canonicalを設定することで、検索エンジンはどのページを評価すれば良いのかを正しく判断できるようになり、Webサイト全体のSEO評価が向上するのです。
canonical(カノニカル)が特に必要なケース
canonicalは、重複コンテンツが存在する可能性のあるあらゆるページに設定することが推奨されます。
特に、以下のようなケースでは、canonicalの設定が必須と言えるでしょう。
- URLパラメータの違い
同じ商品ページでも、色やサイズなどのパラメータによってURLが異なる場合、正規のURLを指定する必要があります。 - スマホ用ページとPC用ページ
レスポンシブデザインを採用していない場合、スマホ用ページとPC用ページはそれぞれ別のURLで提供されるため、canonicalで正規ページを指定する必要があります。 - ECサイトの商品バリエーション
色やサイズ違いの商品ページがそれぞれ独立したURLを持っている場合、正規のURLを指定することで、重複コンテンツとみなされるのを防ぎます。 - AMPページ
AMPページは、通常のページとは異なるURLで提供されるため、canonicalで正規ページを指定する必要があります。 - 「301リダイレクト」できない場合
ページを統合する場合など、301リダイレクトができない状況では、canonicalで正規ページを指定することで、ページの評価を引き継ぐことができます。
これらのケース以外にも、重複コンテンツが発生する可能性がある場合は、canonicalを設定することを検討しましょう。
canonical(カノニカル)の正しい書き方と設置場所
canonicalを正しく設定するためには、書き方と設置場所を理解する必要があります。
canonicalの書き方
canonicalは、HTMLのheadタグ内に記述します。基本的な書き方は以下の通りです。
<link rel="canonical" href="正規URL">
- rel="canonical": canonicalであることを示す属性です。
- href="正規URL": 正規ページのURLを絶対パスで指定します。
canonicalは、必ずHTMLのheadタグ内に記述してください。bodyタグ内に記述しても、検索エンジンに認識されないので注意が必要です。
例えば、https://example.com/product を正規ページとして指定する場合、以下のように記述します。
<link rel="canonical" href="https://example.com/product">
canonicalの設置場所
canonicalタグを正しく設定しないと、せっかくの効果が得られないどころか、逆効果になってしまう可能性もあります。
以下の3つの注意点を守り、canonicalタグを適切に活用しましょう。
canonicalタグを設定する際の注意点
1. 正規URLは絶対パスで指定する
canonicalタグで指定する正規URLは、必ず絶対パスで記述する必要があります。相対パスで指定すると、正しく認識されない場合があります。
絶対パスと相対パスとは?
絶対パス:ドメイン名から始まる完全なURLのことです。
例:https://example.com/product
相対パス:現在表示しているページからの相対的な位置を示すURLのことです。
例:/product(現在のドメインが https://example.com であると仮定)
2. 1ページに複数のcanonicalを設定しない
1ページに複数のcanonicalを設定すると、検索エンジンが混乱し、意図したページが正規ページとして認識されない可能性があります。
3. 誤ったURLを指定しない
誤ったURLを指定すると、ページがインデックスされないなどの問題が発生する可能性があります。
これらの点に注意して、canonicalを正しく設定しましょう。
canonical(カノニカル)の設定確認方法
canonicalを正しく設定できているかを確認することは、SEO対策において非常に重要です。
設定ミスがあると、意図したページが正規ページとして認識されず、SEO効果が得られない可能性があります。
canonicalの設定確認には、以下の方法があります。
1. Google Search Console(サーチコンソール)
Google Search Consoleの「URL検査」ツールを使用すると、指定したURLのソースコードを確認できます。headタグ内に正しくcanonicalが記述されているか確認しましょう。
Google Search Consoleについては、「Google Search Console(サーチコンソール)とは?初めてでも分かる!設定と使い方を解説」で詳しく解説しています。
ぜひこちらの記事もチェックしてみてください。
2. ブラウザの検証ツール
ChromeやFirefoxなどのブラウザには、開発者ツールが搭載されています。このツールを使用すると、ページのソースコードを確認できます。
確認方法:
確認したいページを開くページ上で右クリックし、「検証」または「要素の検証」を選択
表示された開発者ツールのHTMLコードの中から、headタグ内にあるcanonicalタグを確認する
3. SEOツール
様々なSEOツールが、canonicalの設定状況を確認する機能を提供しています。これらのツールを活用することで、サイト全体のcanonicalの設定状況を一括で確認できます。
代表的なSEOツール:
上記の方法でcanonicalの設定を確認し、誤りがあれば修正するようにしましょう。
canonical(カノニカル)に関するよくある質問
canonicalについて、よくある質問とその回答をまとめました。
Q1: canonicalと301リダイレクトの違いは何ですか?
A:canonicalと301リダイレクトは、どちらも重複コンテンツ対策として有効な手段ですが、それぞれ異なる目的で使用されます。
・canonical(カノニカル)
複数のURLに存在する同じコンテンツの中から、正規のURLを検索エンジンに伝えるためのタグです。正規URL以外のページはインデックスされない可能性がありますが、完全に削除されるわけではありません。
・301リダイレクト
あるURLにアクセスがあった際に、別のURLに自動的に転送する仕組みです。転送先のURLにページの評価を引き継ぐことができますが、元のURLはインデックスから削除されます。
どちらを使用するかは、状況によって判断する必要があります。
例えば、ページを完全に統合したい場合は301リダイレクトが適切ですが、一時的にコンテンツを複製する場合や、パラメータによってURLが変わる場合はcanonicalが適しています。
Q2: canonicalの効果はどのように測定できますか?
A:canonicalの効果測定は、直接的には難しい場合があります。
しかし、Google Search Consoleの「カバレッジ」レポートで、canonicalが正しく認識されているかを確認することができます。
また、重複コンテンツが解消されれば、検索順位の向上やアクセス数の増加といった間接的な効果が期待できます。
Q3: WordPressでcanonicalを設定するにはどうすれば良いですか?
A:WordPressでは、テーマやプラグインによって自動的にcanonicalが設定される場合が多いです。しかし、意図したページが正規ページとして指定されていない場合は、手動で設定する必要があります。
WordPressでcanonicalを手動で設定するには、テーマのheader.phpファイルに直接記述する方法や、SEOプラグインを利用する方法があります。
SEOプラグインを利用する場合は、プラグインの設定画面から簡単にcanonicalを設定することができます。
まとめ|canonical(カノニカル)を正しく設定してSEO効果を高めよう
この記事では、canonicalの基本から具体的な設定方法、よくある質問まで解説しました。canonicalは、重複コンテンツの問題を解消し、WebサイトのSEO評価を高めるために非常に重要なタグです。
canonicalを正しく設定することで、検索エンジンはあなたのWebサイトを適切に評価し、検索順位の向上やアクセス数の増加につながる可能性があります。
ぜひこの記事で紹介した内容を参考に、canonicalを活用してWebサイトのSEO対策を強化しましょう。
また、canonical(カノニカル)タグやSEO対策全般について不明な点や専門家に相談したい方は、弊社(株式会社アクシス)までお気軽にご相談ください。