突然、上司から「うちのサイトを解析して」と頼まれたら、どうしますか?
「解析と言っても、具体的にどうしたら良いか分からない...。」
と迷う方も多いかもしれません。
ウェブ解析をはじめる前に、まず知るべきは「解析の目的」です。
これは、事前の目的設計とも言えるでしょう。
解析の目的を明確にすることで、どのデータをどのように見るべきか、そしてどう評価するかが決まります。
ウェブ解析というと、統計的な分析を思い浮かべる方もいるでしょう。
確かに、統計手法は活用されることがあります。
ですが、本記事でご紹介するのは、どんな場面でも役立つ3つの基本的なデータ確認の方法です。
- 大きな視点から小さな視点という順番
- 過去データと比較してギャップに着目
- データは点でなく線でとらえる
この記事では、これらのポイントに基づいてサイトの特徴を把握する分析方法を解説します。サイトを解析する際は、ぜひこれらのポイントを活用すれば、分析の質が向上し、事業の成果に繋がるかもしれません。
いきなりデータを見ても仮説が生まれない
データ解析を行う際、しばしば見かける誤ったアプローチがあります。
それは、いきなり細部のデータを分析しようとすることです。
全体の視点(マクロ)から徐々に詳細の視点(ミクロ)へと移行していくアプローチを取ることで、データの背後にある課題や傾向を見極めることが容易になります。
一方、特定のセッションや細かい数字にのみ焦点を当てると、そのデータが示す意味を適切に把握するのは難しくなります。
多くの人はGoogleアナリティクスを開き、即座にユーザーのアクセス数や流入元の詳細を確認しようとすることがよくあります。
データ解析の際には、何を求めてデータを見るのかの明確や目的や方向性がなければ、ただの数字に過ぎないデータから真の洞察を得ることが困難です。
全体像から傾向を掴み、詳細まで絞り込んで仮説を立てる
データ解析における効果的な方法の一つとして、「全体像の把握から詳細へと進む」アプローチを意識してみてください。
例として、リスティング広告を分析する場合を考えてみましょう。
- STEP
全体の流れを把握する
サイト全体のアクセス数を概観し、全体の動向を掴みます。 - STEP
セグメント※ごとに把握
リスティング広告からの流入を異なるセグメントに分け、それぞれのアクセス数を把握します。 - STEP
キャンペーンごとの詳細探索
各キャンペーンにおけるアクセス数を集計し、その特性を詳しく探ります。 - STEP
広告グループ等で分析する
最後に、広告グループやキーワードごとのCV数など、具体的な指標を把握します。
全体像から詳細へと分析の深度を深めていく「ドリルダウン」と呼ばれる手法を取り入れることで、単にデータを見るだけでは見落とす可能性のある課題や機械を発見することが可能になります。
※セグメント:全体のデータから特定の条件に当てはまるデータで絞り込んだもの。
例えば、サイト訪問者を「新規訪問者」と「リピート訪問者」の2つのセグメントに分ける。
Google アナリティクスの分析方法
次に、Google アナリティクスのデータを分析する場合を紹介します。
まずは大きな視点で、流入元の種別(Default Channel Grouping)を見ていきます。
すると、 Social (SNSなどからの流入)が4番目に大きなボリュームを占めていますね。
そして時系列で見ていくと、Socialが占める割合が徐々に増えて来ているとします。
では、Socialの中でも、特にどのソーシャルメディアが訪問者の増加に寄与しているのか分析するといいですね。
このように、大きな視点から、絞り込んでいくと、仮説が見つかります。
仮に、最初から右側の図だけを見ても、文脈がないので、おそらく何も分かりません。
どのような順番で見ていくかは非常に重要なポイントです。
マクロな視点から、ミクロな視点を見ていくことを意識してください。
ポイント②過去データと比較してチェック
過去の時間軸データと比較する
2つ目の視点として、ある期間のデータを見る時、同じスパンの過去データと比較する視点があります。
今年と昨年を比較してもいいですし、施策を実施したのなら、施策前後でもよいでしょう。
例えば、今週1週間で30件の成果が獲得できたとします。
この時、先週は何件の成果が獲得できたのか。もう少し遡って、先月の同じ週はどうだったのか。
さらに遡って、昨年の同時期はどうだったのか。
このように、「過去の時間軸と比較」していく分析手法です。
過去データと比較することで、課題と仮説が見えてくる
ウェブ上の1週間のログデータは、先週、先々週、先月、昨年などと比較してはじめて意味があります。
良い結果であれ、悪い結果であれ、その結果の原因が一部でも推定できれば、その後の対策も浮かんでくるはず。
結果に対して施策ができてこそ、データ解析する価値が出てきます。
例えば、今週30件の成果が獲得できたとします。
この事実だけだと、この事実が良いのか悪いのか、意味付けできません。
過去の同期間と比較して、データを対比することで、今週の獲得件数30件が良いのか悪いのか、もしくは変わらないのか判断できます。
過去の同じ期間のデータと比較をする、この視点をつかってみてください。
なお、過去のデータと比較する際には、大きな市場変化や競合の変化がないかどうかは確認しておいくてださい。
ポイント③データは点でなく線でチェック
データは、前後の流れ(トレンド)で見る
三つ目のポイントとして、データをその瞬間の点ではなく、過去からの一連の流れ(トレンド)としてチェックする視点を紹介します。
上の図をご覧ください。
あるサイトの今日のページビュー数が400だったとします。
さて、400pvは良いか悪いか分かるでしょうか? きっと判断できないはずです。
ここで、下側のグラフのように1週間のスパンでデータを見てみましょう。
すると、400pvが多いのか少ないのか、判断できるようになりました。
このように、データは点ではなく線として、大きな流れで推移を掴むことが重要です。
ある期間の平均から、データの良し悪しを見る
あるサイトの訪問者を過去1ヶ月で見ると、1日辺りの平均サイト訪問者数が1,000人だったとします。
昨日のサイト訪問者数は、1,200人でした。
すると、昨日のサイト訪問者が多いか、少ないのか判断できますよね。
さらに移動平均線を使えば、トレンドとして右肩上がりで訪問者数が増えているのか、流れとしては右肩下がりなのか、はたまた横ばいなのか、のように傾向を捉えられます。
今日のサイトへの訪問者数は1000人。
仮に、1ヶ月前には平均的に800人/日だったとします。そこから SEO 対策を開始したことで、訪問者数は増加。
この800人/日→1000人/日という流れの中で、今日の訪問者が1000人であれば、SEO対策はうまく行っていると判断できますよね。
このように、データを点ではなくて線でチェックし、傾向を掴むことで施策の評価できます。
日々のデータを、単純に良い悪いで判断せず、良い方向に向かっているのか、悪い方向に向かっているのか、それとも横ばいなのかといった具合にトレンドをチェックしてみましょう。
トレンドが急に変わった時は、原因を調べよう
あるとき、順調に推移していた右肩上がりのトレンドが急に横這いになったとします。
このような潮の変わり目には、何が起こったのかを把握しましょう。
自社要因であるホームページのリニューアルや、ウェブ広告の取りやめなど、何か思い当たる節はありませんか?
もし思い当たる節がなければ、外部要因であるライバルの出現やSEOでの検索順位の低下、法律改正、メディア掲載などが理由かもしれません。
このように、データのトレンドが変わった際は何が起こったのかを確かめることで、仮説を持って対策を打てるようになります。
この記事のまとめ
ここまでデータ解析をするときの3つの重要な視点をお伝えしました。
その3つの視点は、以下でしたね。
- 大きな視点から小さな視点という順番
- 過去データと比較してギャップに着目
- データは点でなく線でとらえる
もしああなたがデータ分析をする際は、ぜひ今回お伝えした3つの視点を意識してみてください。
そうすることで、サイトの課題解決につながる仮説をきっと作れるはずです。